グラファイトデザイン METEOR SPEED(メテオスピード) インプレ
踏んだ分だけフレームがしなってくるのは、RNC7と共通しているのですが、METEOR SPEEDはそのしなりの中にしっかりとした芯を感じられます。そのおかげで、とても反応が良く、ペースの変化が大きいインターバルにも強いです。LSDのような一定のペース走~激しいインターバル走まで状況を選ばず、どんなシチュエーションでも気持ち良く走ってくれます。乗り手のペダリングに合わせてくれるしなりによる脚の減りの少なさと、どの速度域でも気持ち良く走れるのはRNC7と同じで、カーボンという細かな剛性設計ができる素材を採用し、さらなる剛性の最適化を図れたことで、RNC7の弱点だった反応の良さを補うことができたことで、METEOR SPEEDはRNC7の進化版といえるのではないでしょうか?
スプリント時の伸びも特筆することの一つです。脚があれば(ここが一番重要 笑)、60km/hを超えてもそれまでと同じようにスピードが伸びていきます。しなりのおかげで勝負所まで脚を残せて、さらに乗り手の脚力を最大限に引き出すレースバイクです。
RNC7との一番違いは、初心者~上級者まで乗れるRNC7に対し、METEOR SPEEDは上級者向けのフレームということです。その違いが出る要因は、フロントフォークです。このカーボンだからこそできる軽量で高剛性のフロントフォークにより、数あるフラッグシップロードレーサーの中でも、かなり上位にくるキレの鋭さを持っています。このキレの鋭さを話すと、よく「クイックなの?」と聞かれるのですが、そうではありません。どんな下りでもラインが乱れることはないですし、自分が思った通りの動きをしてくれるのですが、予知能力でも持っているかのように、自分がこうしたいと思ったことをフレームが瞬時に再現してくれます。このキレの鋭さに中級者~上級者でも体が反応できず、リズムを合わせられない場合があり、自分もそうで脚は全然残っているのに、体の上半身、特に背中の疲労が先にきてしまっていました。
そこで、フロントフォークを純正から、それまで乗っていたLOOK565で好感触だったLOOK・HSC5 SLに交換しました。これが当たって、フレームの良さを殺さずに、適度にキレの鋭さを抑えることができて、自分のリズムに合うレースバイクになりました。同じグラファイトデザインのベンドフォークにしようかとも思ったのですが、これはMETEOR SPEEDのテスト段階でも選手から要望があり、実際に試したら、フレームの良さを殺してしまい走らないバイクになってしまったいうのを、開発した方から直接聞きました。ストレートフォークはMETEOR SPEEDに、ベンドフォークはMETEOR LAUNCHに合わせた全く別のフロントフォークということですね。
乗り心地に関しては、レースフレームとしてはかなり良いので、長距離や路面が悪い道でも快適に走れます。フロントは強さを持ちつつ路面のゴツゴツ感を減衰し、リアはソフトな印象で、路面の追随性が高く、常に適度なトラクションを掛けられるのが特徴です。
ホイールとの組み合わせは、パリッとしたカーボンホイールより、RACING ZEROのようなソリッドな剛性感をもつアルミホイールの方が相性が良く感じられます。ちなみに、自分がベストマッチだと思うのは、RACING1(TU)です。ホイール選びについては、走るシチュエーションや各々の好みもあるので、参考程度に思って頂ければ良いと思います。
昨年のサイクルモードで、RNC7とMETEOR SPEEDの開発された方とお話しする機会がありました。その時に話したことと合わせて、今一番注目しているグラファイトデザインのZANIAHについて、次の記事でご紹介します。